被害者が亡くなられたことそれ自体による損害としては、死亡による「逸失利益」と「慰謝料」が考えられます。
逸失利益とは、極めて簡単に言えば、事故に遭わなければ将来にわたり取得することができたであろう利益のことです。
一般的には、まず、事故前の収入を基礎として、生活費として費消するはずであった部分を除き、将来の就労可能な期間中にどれだけの利益が得られたかを想定します。ただし、この想定される利益は、本来であれば将来にわたり仕事を継続することにより少しずつ獲得できるものですが、賠償にあたってはこの将来少しずつ得られるはずの利益を現時点で即時に一括して支払うべきことを求めることになるので、これを考慮して一定の割合を差し引いて算出することになります。
例えば、年齢30歳の主婦の「逸失利益」 3,468,800円(平成19年女性学歴計全年齢平均賃金)×(1−0.3『生活費の控除、女性は30%』)×16.7113(67歳までのライプニッツ係数)=40,577,710円
ただし、具体的な逸失利益の算定は、被害者の事故当時の年齢・職業・稼働状況、将来の就職・収入上昇の見込みや、被害者の家族構成・世帯内での地位等の具体的事情により異なります。保険会社からの提示額はこれらの具体的事情が考慮され尽くしていない場合も考えられますので、ご相談ください。
一方、慰謝料とは、事故による精神的苦痛を金銭的に評価するものです。
2000〜3000万円の範囲で認められることが多く、被害者の年齢、家族構成やその中での被害者の立場、事故の態様や事故後の対応等の具体的事情により算定されます。
また、事故の態様や生活状況等によっては、被害者自身の慰謝料のみならずその近親者、すなわち、被害者の両親、配偶者、子供など、被害者のご遺族固有の慰謝料が認められ、上記金額の範囲内で増額される可能性があります。
死亡による慰謝料についても逸失利益と同様、保険会社の算定した金額には、具体的事情の考慮が不十分な場合も想定されますので、弁護士にご相談されることをお薦めします。