【被害者】70代女性 / 主婦 【症状】肩関節可動域制限、鎖骨変形 【等級】後遺障害併合9級
当初提案:約730万円(+自賠責616万円) → 獲得金額:約1,170万円(+自賠責616万円)
事故後約半年の時点(治療中)で,その後の後遺障害等級認定や示談交渉について不安があるとのことでご相談頂いた。症状固定を待って被害者請求を行い併合9級の認定を得たものの,任意保険会社は10級の労働能力喪失率の限度でしか逸失利益を認めないとの対応だったため,やむなく訴訟を提起した。 最終的に,9級の喪失率を前提とする訴訟上の和解が成立。
治療段階でご相談頂けたため,外部専門家と連携して,治療の経過を踏まえつつ等級認定に向けた検査等の準備を進めました。その結果,ご本人の症状が適切に反映された等級認定(肩関節可動域制限について10級10号,鎖骨変形について12級5号,結論として併合9級)を獲得することができました。 また,被害者請求を行ったことから,早期の段階でご本人のお手元にまとまった金額(616万円)をお渡しすることができました。
保険会社の当初の主張は,鎖骨変形は労働能力の逓減には影響せず,労働能力喪失率は肩関節に関する10級の限度でしか認めないというものでした。任意交渉では解決せず訴訟に至りましたが,変形障害の重篤さや家事への支障を主張立証すると共に,実際にご本人に期日に出席してもらって裁判官に変形の状態を確認してもらう機会を設けました。その甲斐あって,裁判所から9級の喪失率を前提とする和解案が提示され,和解が成立しました。
★被害者請求を行うことの経済的なメリットは?
後遺障害の等級認定を受けるためには,通常,@保険会社を通じて行う「事前認定」という方法と,A被害者側で資料を取りそろえて行う「被害者請求」という方法があります。 「事前認定」の場合は,まずは等級認定のみが行われ,等級認定がされた時点では被害者への支払はされず,任意保険会社との協議がまとまった段階でまとめて被害者の方に支払われます。一方,「被害者請求」の方法をとる場合,後遺障害等級認定がされると自賠責にて定められた金額が,等級認定時点で被害者の方に直接支払われます(たとえば,14級該当の場合には75万円,12級該当の場合には224万円)。そのため,被害者請求を行うことにより,ある程度まとまった金額を早期に受け取れる場合があります。
★逸失利益とは?
本来得られたであろう利益(給与による収入等)が,事故による後遺障害によって得られなくなったものを言います。 その「得られなくなった」割合については,後遺障害の等級毎に割合が決まっているものを参考にするのが通常です(たとえば,14級該当の場合には5%,12級該当の場合には14%)。
★後遺障害があるのに,逸失利益が認められないとの主張がされる場合とは?
体幹骨の変形や,外貌醜状といった類型の後遺障害に対しては,「逸失利益が認められない」との主張がされることが多くあります。こうした主張は,それらの後遺障害は身体の動きそれ自体を妨げるものではなく,稼働能力には影響しない,との理由から主張されるものです。 このような主張に対しては,具体的な事情に照らし,稼働上生じている不都合を具体的に主張・立証することにより,不利益が生じていることを示すこととなります。
注:当サイトに記載の事例は,プライバシーへの配慮のため,抽象化のうえ作成しています。