可動域制限等複数の後遺障害等級の認定を受け,体幹骨変形等の通常は逸失利益が認められにくい後遺障害についても考慮した逸失利益を獲得した事例
【被害者】20代男性 / 会社員 【等級】後遺障害併合10級(12級6号(肩関節可動域制限),12級5号(肩甲骨変形),12級5号(骨盤骨変形), 14級4号(外貌醜状))
獲得金額:3,800万円
可動域制限,骨欠損,醜状障害,上肢短縮等,全身に症状が残存しているとともに,治療期間が約3年,医療機関も複数箇所に及んでおり,どのような後遺障害等級を目指すべきか,そのための資料はなにか,という点について整理が困難な状況であったため,ご相談いただきました。 ご家族も含め大変な思いをされたことから,獲得すべきものはきちんと獲得したい,とのことでご依頼いただき対応することに。
ご本人からの聴き取りにより想定される後遺障害をピックアップし,等級獲得のために必要な検査や資料収集の段取りを行いました。 結果,上記の等級の認定を受け,自賠責金461万円を獲得,早期にある程度まとまった金額をお渡しできました。
生命の危険もある受傷状況であったこと,複数回の入院・手術を繰り返したこと,等の事情を主張し,赤本基準に比して20%増額した金額を認めてもらいました。
事故当時学生であったため,就職を1年間遅らせることとなっていました。 当時の就職の見通し状況も加味のうえ,就職遅れの期間について休業損害を認めてもらいました。
後遺障害の内容が,肩の可動域制限を除き,一般的に逸失利益が認められにくい類型であったことや,現実の減収がないこと等を理由として,当初,可動域制限単体の場合に相当する10%のみの労働能力喪失を認める,との主張がされていました。 しかし,肩の可動域制限以外の後遺障害によっても現実の不都合が生じていること,及び,後遺障害になっていない症状についても不都合を生じている事情があることにつき,レントゲン画像や診断書等の資料を活用して主張し,最終的に上乗せ割合を認めてもらい,逸失利益だけで700万円程度の増額となりました。
★逸失利益とは?
本来得られたであろう利益(給与による収入等)が,事故による後遺障害によって得られなくなったものを言います。 その「得られなくなった」割合については,後遺障害の等級毎に割合が決まっているものを参考にするのが通常です(たとえば,14級該当の場合には5%,12級該当の場合には14%)。
★後遺障害があるのに,逸失利益が認められないとの主張がされる場合とは?
体幹骨の変形や,外貌醜状といった類型の後遺障害に対しては,「逸失利益が認められない」との主張がされることが多くあります。こうした主張は,それらの後遺障害は身体の動きそれ自体を妨げるものではなく,稼働能力には影響しない,との理由から主張されるものです。 このような主張に対しては,具体的な事情に照らし,稼働上生じている不都合を具体的に主張・立証することにより,不利益が生じていることを示すこととなります。
注:当サイトに記載の事例は,プライバシーへの配慮のため,抽象化のうえ作成しています。