@ 頭部外傷に伴う診断がされていること 高次脳機能障害,脳挫傷,急性硬膜外(下)血腫,外傷性くも膜下出血,びまん性軸索損傷,びまん性脳損傷等 → 初診時に頭部外傷の診断があり,経過の診断書においてこれらの傷病名が記載されている場合を含む A 上記の診断を裏付ける画像所見が存在すること B 頭部外傷後に一定程度の意識障害等が存在すること
※ これらは,高次脳機能障害の疑いが生じやすい類型を示すひとつの目安です。 これらに該当しない場合にも,高次脳機能障害が疑われるケースも存在するため,以下の自覚症状等もあわせ,該当の有無をご確認されるようおすすめします。
代表的な症状としては,記憶障害のほか,周囲からみて「性格が変わってしまった」というように捉えられるケースもあります。症状の発現は,一つの症状であったり複数の症状が絡み合って発現するなど,ケースによりさまざまです。多様な観点から,事故前との差異を捉えることが必要となります。
【代表的な具体的症状】 意思疎通能力の低下:記憶力,認知力,言語力等の低下 (もの忘れが生じるようになった,言いたいことを伝えられなくなった,等) 問題解決能力の低下:理解力,判断力等の低下 (人の話を何度も聞かないとわからなくなった,等) 遂行能力の低下:作業負荷に対する持続力,持久能力等の低下 (作業が長続きしない,集中が続かなくなった,等) 社会行動能力:社会適合性,協調性等の低下 (性格が変わってしまった,人の話を聞かなくなった,等) そのほか,脳へのダメージに伴い,味覚,嗅覚,視力等,肉体面の機能に影響を生じることもあります
・ 頭部への外傷,損傷の確認 → 画像検査(CT,MRI等) ・ 意識障害の有無確認 → JCS,GCS等の数値の確認 (受傷当時の数値が必要 →「頭部外傷後の意識障害についての所見」等の書式への記入依頼) ・ 発現している具体的症状を裏付ける検査の実施 例:記憶障害:ウェクスラー成人知能検査(WAIS−R)等 ・ 周囲の関係者から見た,事故前後における変化の様子の報告 → 一時的なテストのみでは判明しにくい,性格の変化や生活能力の変化等については,ご家族等の身近な関係者からの報告が重要になるケースも多くあります。 「日常生活状況報告」等の書式により,実態を丁寧に伝える必要があります。
高次脳機能障害については,発現している神経系統の機能の各障害・症状を総合判断のうえ,それに伴って生じている社会生活上の不都合の程度に応じて1級〜9級(他,脳組織に器質的な異常は確認できないものの精神状態や神経症状に影響を与えている場合,非器質的な精神障害として,9級,12級,14級が認定されることもあります。)の認定がされています。 自賠責保険では,下表のとおり,等級及び労働能力喪失率が規定されています。 (各等級の内容についての補足的な考え方については,自賠責による平成12年報告書「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」を参照したもの。)
なお,自賠責による平成19年報告書(「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について)においては,高次脳機能障害の認定においては,上記のような考え方を用いて後遺障害等級を認定した後,労災保険で使用されている「高次脳機能障害整理表」に当てはめて検証のうえ,最終結論を導く,とされています。同表は,就労という観点からより具体的な能力を適示のうえ整理をしており参考になるものでもありますので,同表,及び同表を元にした労災における障害等級認定表についても参考のため以下に記載します。
↓喪失程度についての目安の表は下表参照
□ 治療段階から,高次脳機能障害をはじめとする症状につき,治療や検査についての方針検討のサポートを行い,高次脳機能障害(7級4号)をはじめとする後遺障害が認定された事例 【被害者】60代女性/主婦 【等級】後遺障害併合5級(高次脳機能障害7級4号,外貌醜状7級12号,等)
獲得金額:約3500万円(既払いの治療費等は除いた金額)
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・ 労災補償 障害認定必携(財団法人労災サポートセンター,第15版) ・ 平成12年12月18日付「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて」 ・ 平成19年2月2日付「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」